台湾に来たことがある人なら、どこからかクラシック音楽が流れてくるのを耳にしたことがあるかもしれません。
実はその音楽、意外にも「ごみ収集車」から流れているのです。
なぜ、ごみ収集車が名曲をひびかせながら走っているのか?
今回は、台湾ならではの、ごみ捨て事情をのぞいてみましょう!
日本では、「家の近くにあるごみ置き場に、ごみ袋を出しておけば回収される」というスタイルが、一般的ですよね?
ところが台湾では、道路上にごみ置き場が一切ありません。
台湾の ごみ回収時間は、地域によりさまざま。早朝の地域もあれば、夕方や夜の地域もあります。なんと1日に2回、ごみ収集がある地域も。
住民は、その地域ごとのタイミングに合わせて、袋をもって外に出て、ごみ収集車を待ちかまえるのです。
道端にごみを置いておくことがないため、街は清潔。
カラスや動物に荒らされる心配もなく、地域全体をきれいに保つことができます。
台湾では、ごみ収集車が「エリーゼのために」や「乙女の祈り」など、クラシックの名曲を流しながら、街を巡回します。
この音楽が 「そろそろ、ごみ捨ての時間ですよ!」 という合図。住民はこのメロディーを聞くと、袋を持って外へ急ぎます。
最初に聞いたときは、「どこかで、イベントでもやっているのかな?」 とおどろいたものですが、今ではすっかり日常の風景です。
ごみ収集車の音楽が聞こえてくると、住民がつぎつぎと道路に現れ、それぞれの袋を車の投入口に向かって、投げ入れていきます。
まるでスポーツのような光景で、初めて見た時は、そのいきおいに圧倒されてしまいました。
私は 「えっ、自分で投げるの!?」 と戸惑いながらも、勇気を出してチャレンジ。
最初の頃は、収集車に近づくのも少し怖かったです。
しかし、今ではゴミ収集車持ち中にご近所さんと挨拶したり、ごみ袋をうまく入れられたときに、ちょっとした達成感を味わったりと、日常の小さなイベントになっています。
台湾に来たら、すこし耳を澄ませてみてください。
遠くからクラシック音楽が聞こえてきたら、それは…… ひょっとするとごみ収集車の登場かもしれませんよ!