タイにはたくさんの寺院があるため、街中でもお坊さんをよく見かけます。
お坊さんが道を歩いているときには道をゆずりますし、電車内にはお坊さんの優先席もあるのです。
そんな高貴な存在であるお坊さんが、1年に1度、住んでいるコンドミニアムに出向いてくれる行事があったので参加してみました。
タイの仏教儀式では、僧侶を招いて読経してもらい、食べ物や贈り物を捧げることで徳を積むという習慣があります。
この善行を行い、徳を積む行為を、ทำบุญ (タンブン)といいます。
タンブンには様々な種類があり大きな種類でいうと
- 僧侶への施し
- 寺院への寄進
- 動物への施し
- 困っている人への施し
- 自然保護活動
などなど。
気軽にできるタンブンは、困っている人を助け、親切な行いをして、感謝の気持ちを伝えたり、笑顔で接したり、優しい言葉をかけたりすることでしょうか。
また、仏教の戒律では、お坊さんは所有物を持たない修行の身とされており、
生活に必要な最低限のものを、施しに頼って生活するそうです。
ですので、今回の行事で、「食べ物をタンブンするのであれば、その日に食べ終えることができるものを選ぶべき。」と義母からアドバイスをしてもらいました。
そして私と夫が選んだのはこちらの5つ
- 炊いたご飯
- 牛乳
- みかん
- ビタミンゼリー
- 魚の缶詰
炊けたご飯と、そのほかの食料品をそれぞれの袋にいれて、準備は完了です!
そして、お坊さんが来る前にコンドミニアムにある祠へ、お線香を捧げてご挨拶。
タイ人はどこの土地にも、必ず神様や精霊がいると信じています。
そのため、土地に古くから住み着いている神様や精霊が怒らないよう、また、守護していただくようにと、祠を建てるのです。
どこの軒先にも必ずあるので、見かけたことがある人は多いかもしれませんね。
そろそろ開始時間だなと思っていると、お坊さん9人がバスに乗って来場。タイでは、9という数字は非常に縁起の良いとされており、さまざまな場面で9人の僧侶が招かれることが多いのです。
お坊さんが着座した目の前に、お坊さんより目線を高くしないよう、少しかがみながら、お供え物を供えていきます。
全員が供え終わると、すぐに読経がはじまりました。
ここにいる全員が、ひとつのことに集中している感覚が肌に伝わり、心も背筋もピーンとした気持ちになります。
読経が終わると、お坊さんは寺院へ戻るため、男性陣がお供えをバスまで運ぶのを手伝い、全員で見送りました。
その後、参加した人々で祠にお供えした果物や、タイの伝統的なお菓子を分けて解散です。
行事が無事に終わり、ホッと一息。
従業員や住民からは、「初めて参加してみてどうだった?」「このお菓子も美味しいから食べてみて!」など、優しい気遣いの嵐。初めてのことで、緊張していた身に沁みました。
タイにきてから、タイ人の細かな気遣いや、優しさに触れる機会が多いなと感じます。きっと、彼らの生活のなかに、タンブンが根付いているのでしょう。
こういった背景を知ったうえで、タイに観光へいくと、また違った角度で楽しめるかもしれないですね。
旅先で出会うタイ人が、タンブンの精神で歓迎してくれるので、みなさんの旅がきっと楽しくなるはずです!